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医学生の分子細胞生物学学習日記(3)

ヌクレオソームを形成するとDNA分子は元の約3分の1の長さのクロマチン線維となり、これが折りたたみの1段階

八量体を構成する4種類のヒストンは比較的小型のタンパク質で、塩基性(正電荷を持つ)アミノ酸(リシンとアルギニン)を多く含むため、負電荷を帯びたDNA糖―リン酸主鎖にしっかり結合する。→どんな塩基配列のDNAでもヒストン八量体と結合可能

 

 

実際の細胞では、ヌクレオソームが重なり合って、より凝縮したクロマチン線維になっている。

もう1段階の凝縮にはヒストンH1という5番目のヒストンが必要で、H1が隣り合ったヌクレオソームを引き寄せる

 

クロマチンの局所構造を素早く調節する仕組み

クロマチン再構成複合体 ATPの加水分解エネルギーを利用してヌクレオソームに巻き付いたDNAの位置を変化させる

             ヒストン八量体とそれに巻き付いたDNAの両方に結合するし、局所的にヌクレオソームの並び方を変え、細胞内の他のタンパク質が近づきやすいあるいは近づきにくい状態にする。有糸分裂の際には、多くのクロマチン再構成複合体が不活性化

 

・ヒストンの可逆的な化学修飾 4種のコア・ヒストンタンパクの尾部は、特に共有結合修飾を受けやすく、核内の酵素によってアセチル基、リン酸基、メチル基の付加や除去が起こる。これらはクロマチン線維の安定性に大きく影響 

             リシンのアセチル化…尾部と隣のヌクレオソームとの親和性を低下させてクロマチンの構造を緩める

               これらの修飾はヒストン尾部上で、様々な調節タンパクの結合場所の役割を果たす

               尾部修飾とそれに結合するタンパク質の特定の組み合わせは、細胞にとって様々な意味を持つ

          (例:クロマチンの特定部分が最近複製されたことを示す、発現すべき遺伝子を含むクロマチンを示すなど)

               ヒストン尾部を修飾する酵素も厳密に調節されている

                         これらの酵素は、おもにDNAの特定の領域に結合するタンパク質との相互作用によってクロマチンの特定の領域に運ばれる。ヒストン修飾酵素クロマチン再構成複合体と強調して細胞の必要に応じたクロマチン構造の迅速な変化をつかさどる。

 

間期のクロマチン全体が同じ凝縮状態ではない。転写されている遺伝子を含んだ領域は凝縮度が低く、転写が休止している遺伝子の領域では凝縮度が高い。ほとんどの細胞では、全遺伝子の20~30%程度が発現している

 

ヘテロクロマチン…間期のクロマチンの中で最も凝縮度が高い。哺乳類の染色体ではセントロメア付近と染色体末端のテロメアに集中している。もっともふつうにみられるヘテロクロマチンは、ヒストンH3のリシン残基9のメチル化という修飾があると形成される。ヒストン尾部の修飾がヒストン修飾酵素などのヘテロクロマチン特異的タンパク群を引き寄せ、これが隣接するヌクレオソームのヒストン尾部も同じように就職するため、ヘテロクロマチンは、いったん形成されると、周囲に広がっていく。この修飾が、また同じ特異的タンパク群を引きよせ、クロマチン凝縮の波が染色体全体に伝わっていく。この伝達を妨げる障壁塩基配列に出会うまで、ヘテロクロマチンは広がり続ける。こうして、DNAに沿って大きなヘテロクロマチン領域が形成される。

 

ユークロマチンヘテロクロマチンでない残りの部分。ヘテロクロマチンに比べて凝縮度が低い。

 

どちらも様々な構造のクロマチンの混合物である。それぞれが異なったヒストン尾部修飾の組み合わせによって異なった非ヒストンタンパク群を引き寄せて、形成、維持されている。

 

 

 

細胞内でいつもヘテロクロマチン状態にあるDNAには、遺伝子は含まれないのが普通だが、偶発的に組み込まれると、高度に凝縮されているために、発現されなくなる。人では、酸素を運ぶヘモグロビン分子の構成成分であるβグロビンの遺伝子は、ヘテロクロマチン領域のすぐ隣にある。遺伝的なDNA欠失によってこのヘテロクロマチン領域が広がると、βグロビン遺伝子はほとんど発現されず、重い貧血症につながる。

 

遺伝子サイレンシングとは一般に、クロマチンへの後天的な修飾により遺伝子を制御する、いわゆるエピジェネティクス的遺伝子制御のことを示す。遺伝子サイレンシングという用語は通常、遺伝子組み換え以外の機序で遺伝子の「スイッチを切る」ことを記述するために用いられる。正常な環境下で発現する(スイッチが入る)遺伝子のスイッチが細胞内の何らかの機構により切られることを意味する。

 

雌の間期のX染色体…遺伝子のサイレンシング、遺伝子の発現を止めるためにヘテロクロマチンを利用する

          雌ではX染色体が2つある。X染色体の遺伝子産物が2倍量あると致死的になるためだろうが、各細胞で2つのX染色体のうちの一方を半永久的に不活性化する仕組みを作っている。X染色体のどちらか1つは、肺の発生初期に高度に凝縮してヘテロクロマチンになり、それ以降に生じるたくさんの子孫細胞には、この凝縮不活性状態が受け継がれていく。

 

 

 

 

 

エクソン…DNA,RNAの翻訳領域

イントロン…DNA、RNAの非翻訳領域。エクソンに挟まれている

 

染色体がある理由

 非常に長い二本鎖DNA分子がきっちりまとめられて染色体になって核内にうまく収まり、しかも細胞分裂のたびに、複製されて2個の娘細胞に正確に分配される。DNAの収納という複雑な作業をするのは特定のタンパク質で、DNAを結合してDNAを折りたたみ、連なったコイルやループ状にしてだんだん高次の構造をつくり、DNAがもつれて扱いにくくなるのを防いでいる

DNAは、その複製や修復、遺伝子発現の調節にかかわる酵素などのタンパク質が近づけるようにたたまれ、まとめられている

 

人の核(約6μm)のDNA…約3.2*10個(32億個)のヌクレオチド(塩基対)が、23種類あるいは24種類の染色体に分配されている。(=ゲノムの大きさ)

隣り合う塩基対の中心間距離は0.34nm

 

32億個*0.34nm*2(父親由来と母親由来)=2m (ゲノムは父親由来と母親由来の2組があると考える)

 

bp…塩基対。単位としてもつかわれる。二本鎖

nt…ヌクレオチド。単位としてもつかわれる。一本鎖

 

ヒトの遺伝子…2万~2万5千、3万

 

RNAとDNAの違い

 デオキシリボースかリボースか 一本鎖か二本鎖か チミンかウラシルか

RNAは一本鎖なので自由な構造とれる