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医学生の分子細胞生物学学習日記(5)

校正…DNAポリメラーゼに2つの特殊な能力が備わり、複製の精度を高めている。

    ・ポリメラーゼは付加するヌクレオチドと鋳型鎖の塩基対形成をその都度慎重に確認し、

正しく対合するときにしか付加反応を触媒しない。

    ・ポリメラーゼがごくたまに正しくないヌクレオチドを誤って付加したとしても、

校正の機能によって誤りを修正できる。

   校正はDNA合成と同時に行われる。伸長中のDNA鎖に新しいヌクレオチドを付加するときに、1つ前につけたヌクレオチドが鋳型鎖と正しく対合しているかどうかを確認する。正しくなければ間違ったヌクレオチドを取り除き、合成をやり直す。校正は、主鎖のホスホジエステル結合を切断するヌクレアーゼ(核酸分解)活性によって行われる。重合と校正の反応は密接に強調しながら、同じポリメラーゼ分子の別々の部位で行われる。DNAポリメラーゼが重合反応の間違いを自分で訂正する機能を持つためには、反応を5‘→3’方向だけに進めるしかない。(5‘末端リン酸基を加水分解すると進められない)

 

合成 塩基対形成した末端がなくても2個のヌクレオチドをつなぎ合わせて新しいポリヌクレオチドをつくり始められる酵素(プライマーゼ)が、RNAの短い分子(プライマー)をつくる。こうしてできた10ヌクレオチド程度の短いRNAができてDNA鎖である鋳型鎖と塩基対を形成すると、その3‘末端がDNAポリメラーゼの合成開始点となる。

 プライマーゼ…DNAを鋳型としてRNAを合成する酵素RNAポリメラーゼの一種。5‘→3’方向に働く。校正をしない。

   プライマーRNAは、DNAとまったく同じように、DNA鎖上で相補的な塩基対形成によって合成される。

  

リーディング鎖…プライマーRNAは複製起点で複製が始まるときにだけ必要で、いったん複製フォークができれば、鋳型鎖に沿って動くDNAポリメラーゼの前に塩基対を形成した3‘末端が常に存在する。

 

ラギング鎖…DNA合成は不連続であり、合成作業を続けるには、絶えず新しいプライマーが必要になる。

      (真核生物の場合、約10ヌクレオチドの長さのプライマーRNAが、約200ヌクレオチド間隔でつくられる)

複製フォークが動くにつれて対を形成していない塩基が露出すると、この一本鎖になった部分に、間隔を置いて次々に新しいプライマーRNAが合成される。DNAポリメラーゼはこのプライマーの3‘末端にデオキシリボヌクレオチド を付加して新しい岡崎フラグメントをつくり始め、前のプライマーのところまでDNA鎖を延ばしていく。

      連続したDNA鎖にするには、さらに3種類の酵素が素早く動いて、プライマーRNAを除き、そこをDNAに置き換え、DNA断片をつなぎ合わせる。そこでヌクレアーゼがプライマーRNAを分解し、修復ポリメラーゼと呼ばれるDNAポリメラーゼ(校正する)がRNAをDNAに置き換え(隣の岡崎フラグメントをプライマーに使う)、DNAリガーゼが、先に合成されていたDNA断片の5‘-リン酸末端を、修復ポリメラーゼによって隣まで合成されてきたDNA断片の3’-ヒドロキシル末端につなぐ。

 

DNAヘリカーゼ…複製装置の先頭で、ATP加水分解のエネルギーを使って、DNA上を素早く動きながら二重らせんをほどく。

一本鎖DNA結合タンパク…ほどいた一本鎖DNAに結合して、開いた塩基がまた対をつくるのを防ぎ、効率よく鋳型として使えるように、しばらくの間DNAを伸びた状態に保っている。

 この2つの複製タンパクが、この作業を強調して行う。

 

      ヘリカーゼが複製フォークの内部でDNAをほどくと、フォークの外側ではDNAがきつくまかれることとなる。

      細胞はDNAトポイソメラーゼというたんぱく質を利用して、このねじれを取り除く。DNAの主鎖に一時的な切れ目を入れてねじれを緩めた後で、切れ目を再びつないでDNAから離れる。