医学生の分子細胞生物学学習日記(13)
mRNA分子を外へ運ぶ最終決定をするのは結合しているタンパク質全体
(核に残った不要なDNAは分解され、ヌクレオチド成分は転写に再利用される)
mRNA分子は最後には細胞質に存在するリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)によってヌクレオチドに分解される
寿命:細菌のmRNA…通常3分程度
真核細胞…βグロビン遺伝子のmRNAのように10時間を超えるものもあれば30分以下のものもある。(3’非翻訳領域に左右される)
Βグロビンのように多量につくられるタンパク質はmRNAの寿命が長く、少量のタンパク質や含有量がシグナルに応じて急激に変化する必要のあるタンパク質は寿命の短いmRNAから合成される。
真核生物…mRNA前駆体分子にイントロンとエキソンが含まれる
原核生物…核がないため、転写と翻訳は、同じ細胞区画で同時に起こる。
(イントロンはもともと寄生性の動く遺伝因子で、真核生物の初期の祖先にたまたま侵入してゲノムに定着した?)
遺伝暗号…遺伝子の塩基配列をmRNA分子を介してタンパク質のアミノ酸配列に変換する翻訳の原則
mRNAの配列は3個ずつのヌクレオチドの組として5‘から3’方向に読み取られる
3個のヌクレオチドの並べ方は64通り アミノ酸は20種類 →複数のトリプレットで指定されるアミノ酸がある
(ほとんどのアミノ酸には2つ以上のコドンがある…縮重)
コドン…RNAの連続した3個のヌクレオチド(トリプレット)。翻訳においてアミノ酸などを指定する。
終止コドン…UAA,UAG,UGAはアミノ酸に対応せず、アミノ酸の並びの終わり、つまり終結部位を示す
コドンAUGは、タンパク質翻訳領域のはじめを示す開始コドンと、メチオニンを指定するコドンの2つの働きをする
原理的には3種類の読み枠のどれを使っても、mRNAの塩基配列は翻訳できるが、各mRNA分子の最初に特定のシグナルがあり正しい読み枠を設定する。(5‘キャップ構造に最も近いAUGを開始コドンに採用する)
運搬RNA(tRNA)…mRNAをタンパク質に翻訳するアダプター分子。片側がコドン、反対側でアミノ酸を識別。約80ヌクレオチド程度の小分子
RNAは塩基対形成領域が長いと二重らせん構造となり、tRNAも短い領域4か所で二重らせんを形成。そうしてクローバー型の分子になり、分子内の領域によってさらに折りたたまれて、密にまとまったL字型の構造をとる
L字型のtRNA分子の両端に位置する塩基対形成していない2つの領域がタンパク合成に重要(アンチコドン・3‘末端の短い一本鎖領域)
アンチコドン…3個のヌクレオチドはmRNA分子の相補的なコドンと塩基対形成する
3‘末端にある短い一本鎖領域…ここにコドンに適応するアミノ酸が共有結合。
コドンのはじめの2つとは正確な塩基対をつくるが、3番目は正確に対合しなくてよい(揺らぎを許す)tRNA分子もある。
tRNAはヒトは500種類近いが、アンチコドンは48種に過ぎない。