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医学生の分子細胞生物学学習日記(19)

転写活性化因子(アクチベーター)…細菌の遺伝子を活性化する転写調節因子

                 その働きかけるプロモーターはそれ自体ではRNAポリメラーゼと結合して正しく配置する能力が非常に弱い。転写活性化因子が近くに結合し、RNAポリメラーゼに接触すると、転写の開始を助け、完全に機能を果たすようになる。

 転写活性化因子も、別の分子と結合しないとDNAに結合できない場合が多い。

   細菌の転写活性化因子CAP…環状AMP(cAMP)と結合したときに限り、DNAに結合できる。

 

大腸菌のLacオペロンはLacリプレッサーと転写活性化因子CAPに制御される。

Lacオペロン…二種類のラクトース取り込みと消化に必要なタンパク質を指令する

 グルコースがない…大腸菌はcAMPをつくり、CAPを活性化する

 ラクトースがない…Lacリプレッサーがオペロンをオフにする

  このオペロンはグルコースがなくラクトースがあるときに高レベルで発現する。

 

真核生物

 真核生物も転写調節因子(活性化因子と抑制因子)を使って遺伝子発現を調節している。

 エンハンサー…真核生物の遺伝子活性化因子が結合する部位

 真核生物では転写活性化因子はプロモーターから数千塩基離れても転写を促進し、遺伝子の上流、下流どちらに結合しても作用を示す。

 遠距離作用…エンハンサーとプロモーターの間のDNAがループをつくってはみ出し、プロモーターで起こる現象に転写活性化因子が直接影響を及ぼす。または、ほかのタンパク質が遠く離れた転写調節因子とプロモーター周辺のタンパク質をつなぐ。(この場合、介在因子と呼ばれる大型の複合タンパクが最も重要となる。これらのタンパク質には、転写基本因子とRNAポリメラーゼがプロモーターに結合して、大型の転写開始複合体を形成するのを助ける。(真核生物の転写抑制因子はこの逆で、この複合体の形成を阻害して転写を妨げる)

 

細胞はクロマチン再構成複合体の助けを借りて、あるいはヌクレオソーム・コアをつくるヒストンタンパクを共有結合で修飾して、クロマチン構造を局所的に変化させることができる。多くの転写活性化因子はこういったクロマチン修飾タンパクをプロモーターにへと引き寄せる働きをして、クロマチン構造の変化をうまく活用する

 ヒストンアセチラーゼを引き寄せると、ヒストン尾部の特定のリシンへアセチル基が付加されやすくなる。

 そして、クロマチン構造が変化すると、そこに含まれるDNAへの近づきやすさが増す。

 また、このアセチル基自体が、一部の転写基本因子など、転写を促進するタンパク質を引き寄せる。