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医学生の分子細胞生物学学習日記(20)

 多くの転写抑制因子は、ヒストン尾部のアセチル基を取り除く酵素ヒストンデアセチラーゼをひきよせ、アセチル化による転写開始の促進効果を焼失させる。真核生物の転写抑制因子のなかには遺伝子それぞれに働くものもあるが、協調して、多くの遺伝子を含む広い領域を転写されにくい濃縮クロマチンにするものもある。

 

細胞記憶…遺伝子発現の多くは一過性のシグナルに応じて起きるのだが、細胞はこれを記憶する。

 

組み合わせによる調節…1個の遺伝子の発現を決めるのに一群の転写調節因子が協働する。(例・細菌のLacオペロン)

 真核生物では、典型的な遺伝子は数十個もの転写調節因子の制御を受けるようになっている。これらが、多数のタンパク質からなる介在因子複合体を介してクロマチン再構成複合体、ヒストン修飾酵素RNAポリメラーゼ、転写基本因子の集合を助ける。多くの場合、同じ複合体の中に抑制因子、活性化因子の両方が含まれる。

 

真核生物では、細菌でのオペロンのようにまとめた遺伝子は見られない。

 

遺伝子の発現が組み合わせによって調節されていても、1個の転写調節因子が、ある遺伝子のオンオフの決定権を握れる。

 

例 ヒトでのコルチゾール受容体タンパク(転写調節因子)

  コルチゾールは複合体を形成しないと調節部位に結合できない。肝細胞は、コルチゾールに応答して様々な遺伝子の発現を上昇させる。これらの遺伝子はすべて、コルチゾール受容体複合体が個々の遺伝子内の調節配列に結合することによって制御される。