医学生のeveryday

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医学生の分子細胞生物学学習日記(25)

タンパク質情報をコードしない「ノンコーディングRNA (ncRNA)」

 

piRNA(PIWI-interacting RNA)はわずか30塩基程度の小さなRNA(注1)です。しかしこの小さなRNAは、生殖細胞のゲノムを守るという大きな役割を果たしており、人間を含めた動物が存続するためには必須の因子です。また近年では、piRNAが、ガンを含めたさまざまな生命現象に関わっていることも分かってきています。このようにpiRNAの重要性は明らかである一方、どのようにpiRNAがつくられ機能するのかといった基本的な部分については、関与する個別の因子は分かりつつあるものの、それらの関係性や全体像の理解には未だ程遠い状況にあります。

uORF

uORF(upstream open reading frame).成熟mRNAのコーディング領域の5′上流に存在するタンパク質をコードする可能性がある読み取り枠のこと.5′上流の非翻訳領域にあるuORFによって,下流ORFの翻訳活性や読み取り枠の選択が調節されて,細胞分化や代謝に必要な遺伝子の発現が調節されると考えられている.

ORF

あるDNA二重鎖が一連のコドン(連続した3塩基の組)によってタンパク質をコードする場合,一方向に3つ,逆方向に3つ,合計6つの読み枠(reading frame)がありうる.そのうち,実際に遺伝子としてタンパク質をコードしている読み枠のことをOpen Reading Frame(ORF)とよぶ.

 

クロモドメイン

クロモドメインは,クロマチンの構造変換にかかわる因子に見出される,進化的によく保存されたドメインである(約40~50アミノ酸).例えばヘテロクロマチンタンパク質HP1は,そのクロモドメインを介して9番目のリジンがメチル化されたヒストンH3を認識して結合し,クロマチンの構造変換をもたらして転写抑制に関与することが明らかになっている.