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医学生の分子細胞生物学学習日記(26)

【RNAiとは】

RNAi(RNA interference; RNA干渉)とは、二本鎖RNAと相補的な配列を持つmRNAが特異的に分解される現象です。元々、真核生物で広く保存されている遺伝子抑制機構の一つとして発見されましたが、近年では、人工的に二本鎖RNAを導入し、目的の遺伝子発現のみを効果的に抑制する技術として汎用されています。

 

【原理】

RNAiのメカニズムについては未だ完全には解明されていません。しかし、一般的に二本鎖RNAが細胞内で短い一本鎖断片に分解され、その断片と複数のタンパク質からなるRISC複合体により相補的なmRNAが分解されると考えられています。

生命現象を研究する際、その現象にどのような遺伝子の発現が関わっているのかを調べることが必要となるため、候補となる遺伝子の発現を人工的に制御し、変化を観察する実験が行われます。

一般的には、染色体上の目的遺伝子を破壊する形(ノックアウト)での機能阻害が行われてきましたが、実験操作が煩雑であることや成功率が低いことなどの課題がありました。

RNAiを利用することによって、従来よりもはるかに簡便かつ効率的に目的遺伝子の機能を阻害(ノックダウン)することが可能になるため、現在では様々な研究分野で欠かせない実験技術として汎用されるようになりました。

 

ヒストンメチル化酵素(HMT)およびヒストン脱メチル化酵素(HDM)

活性型リコンビナントHMTおよびHDMタンパク質

ヒストンのメチル化は,ゲノムの圧縮および遺伝子発現の調節に関与する重要な翻訳後修飾です。アミノ酸の対象に応じて,ヒストンのメチル化は転写抑制または活性化をもたらすことができます。ヒストンのメチル化は,ヒストンH3およびH4のリジンまたはアルギニン残基にメチル基を付加するメチルトランスフェラーゼによって促進されます。ヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMT)はリジンのメチル化を担当している一方で,アルギニン残基のメチル化は,タンパク質アルギニンメチルトランスフェラーゼ(PRMTs)によって触媒されます。アルギニンとリジン残基からのこれらのヒストンマークの除去は,それぞれタンパク質アルギニン脱メチル化酵素(PRDM)とリジン脱メチル化酵素(KDM)酵素によって触媒されます。

 

エピジェネティック制御にかかわるタンパク質は、主に DNA やヒストンをメチル化・アセチル化修飾する「ライター」酵素、これらの修飾を除去する「イレイサー」酵素、そして DNA・ヒストンの修飾部位と結合する「リーダー」タンパク質が知られており、これらが相互作用しながらエピジェネティックな制御機構を支えています。このうち「ライター」と「イレイサー」は酵素である。

 

5つのヒストンファミリー (H1からH5) は、コアヒストン (H2AH2B、H3、H4) ならびにリンカーヒストン (H1、H5) の大まかな2つのグループに分類されます。ヒストンは、アセチル化、メチル化 (リジン残基、アルギニン残基)、シトルリン化、リン酸化、およびユビキチン化を含む多数の翻訳後修飾 (PTM) を受けます。これらの修飾は、ヌクレオソームの構造と安定性、ならびにクロマチン結合タンパク質のリクルートを制御します。ここでは、H2AH2B、およびH4ヒストンタンパク質とそのPTMに注目してみましょう。ライター、リーダー、およびイレイサーと呼ばれる様々な酵素は、ヒストンと相互作用してクロマチン構造および転写活性を変化させます。ライターはPTMを付加する酵素で、イレイサーはPTMを取り除く酵素です。リーダータンパク質はPTMと結合し、クロマチン構造および遺伝子発現の変化を制御します