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医学生の分子細胞生物学学習日記(35)

ヒトとマウスのゲノムはほぼ同じ大きさで、ほぼ同じ遺伝子が含まれ、両方とも動く遺伝因子だらけである。しかし、マウスとヒトのDNAに見いだされる動く遺伝因子は、塩基配列は似ているが、分布が異なる。2つの種が分岐して以来久しく、それぞれのゲノムでこれらの因子が増え、動き回ってきたからである。

これに加え、過去7500万年の間に染色体の切断と組み換えが180回ほど起こったと推定され、染色体構造が劇的に変化した。ヒトでは大部分のセントロメアは染色体の中央付近にあるが、マウスのセントロメアは染色体の量末端にある。

あちこち混ぜ合わされたにもかかわらず、2つの種で同じ遺伝子群が同じ順序でつなぎ合わされているのがシンテニーの保存領域で、これがいくつも認められる(マウスとヒトのゲノムの90%以上)。

ゲノム全体にわたって塩基配列を比較すると、ヒトとマウスが共通祖先から分岐して以来およそ7500万年の間に、約50%の塩基が変化したことがわかる。また、変化が許されずヒトとマウスで塩基配列がほとんど同じく保たれた領域が見える。これらの塩基配列は、重要な機能を失わせる変異を持った個体は排除する純化選択によって保存されてきた。

比較ゲノム解析により、ヒトゲノムの約4.5%は、いろいろな哺乳類での保存度が高いDNA配列からなることがわかる。タンパク質に翻訳されるのは、この塩基配列の約3分の1に過ぎない。保存された非翻訳配列には、調節DNAもあれば、転写されてできるRNA分子がタンパク質には翻訳されず調節機能を持ったものもある。しかし、これらの保存された非翻訳配列の大部分は機能がわかっていない。

魚類と哺乳類の系譜は約4億年前に分岐した。この長い時間の間に、純化選択が働いた領域以外では、ランダムな配列変化と選択圧の違いにより塩基配列の類似性はほとんど跡形もなく消されてしまう。

すべての脊椎動物のゲノムには大体同じ数の遺伝子があるのにゲノム全体の大きさはかなりちがう。

いろいろなゲノムの比較により、小さい配列領域が目まぐるしくゲノムから消えたり加わったりしていることがわかる。

トラフグ…ゲノムは哺乳類ゲノムの10分の1しかない

←主にイントロンが小さいためで、フグのイントロンには、この魚類のゲノムにあるほかの非翻訳領域と同様に、ほとんどの哺乳類ゲノムの大部分を構成する反復DNAがない。それでもフグのイントロンの位置は、哺乳類ゲノムのイントロンと比較してみるとほとんどが完全に保存されている。明らかに、ほとんどの脊椎動物の遺伝子のイントロン構造は、魚類と哺乳類の共通祖先ですでに定まっていた。フグのゲノムが小さいのは、DNA配列の消失が獲得よりも急速に進んだため(重要機能を持つ可能性が高いDNA配列だけを残して都合よく減量した)

 

系統樹作成のため、あらゆる生物種で保存されている特定の遺伝子が注目された。リボソームの小サブユニットのリボソームRNA(rRNA)をつくる遺伝子である。翻訳過程はすべての細胞に欠かせないので、このリボソーム成分は地球上の初期から保存度が高かった。小サブユニットrRNA塩基配列を用いてあらゆる生命を含む単一の系統樹をつくった。

→伝統的に細菌とみなされていた生物の中に、進化の起源が原核生物と真核生物ほど離れたものがあることが分かった

原核生物は細菌と古細菌という2つの別集団からなる)

 生物界には、細菌と古細菌と真核生物の三大部門(ドメイン)がある。