医学生のeveryday

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医学生の分子細胞生物学学習日記(6)

滑る留め金…新しいDNA鎖を合成する間、DNAポリメラーゼが鋳型DNAから離れないようにしっかり保持する複製タンパク。DNA二重らせんの周りに環をつくるので、これと結合したDNAポリメラーゼは、DNA鎖の合成に連れて動いても、鋳型鎖から離れずに済む。DNAへの留め金の取り付けには、留め金装着タンパクが必要で、留め金装着タンパクが取付作業のたびにATPを加水分解する。

 

染色体の端:ラギング鎖上の最後のプライマーRNAを取り除いた後は、これをDNAに置換できない。

  細菌…染色体を環状分子にして解決

  真核生物…染色体末端に長い反復配列で構成されたテロメアを置いて解決

        テロメアの配列に引き付けられたテロメラーゼという酵素が自身の持つRNAを鋳型にして、複製中のラギング鎖の鋳型DNAの末端に同じ短いDNA配列を複数個作る。こうして伸長した鋳型鎖を使えば、通常通りの方法でもラギング鎖の複製が終わりまで行える。

    テロメア…染色体末端の複製を可能にする・特別な構造をつくって染色体の本物の末端を示す

 

 

 

DMA修復

 色素性乾皮症(遺伝性疾患)…修復にかかわるあるたんぱく質の遺伝子に欠陥があるため、紫外線によって生じた損傷を治せず、日光を浴びた皮膚細胞のDNAに損傷が蓄積して変異が生じ、皮膚がんを含め重症の皮膚障害を起こす。

 

DNA分子は熱運動によってほかの分子と絶えず衝突を繰り返しており、そのためにDNAに大きな化学変化が起こることも多い。

 脱プリン反応…ヌクレオチドからプリン塩基が取り除かれる。

 脱アミノ反応…DNAのシトシンからアミノ基が失われてウラシルが生じる反応。

 日光の紫外線…DNAの隣り合ったピリミジン塩基間に共有結合をつくらせ、チミン二量体などを作り出す。

  修復されなければ、次の複製の際に誤った塩基対形成が起こって塩基対が別の塩基対に代わってしまったり、複製後に娘DNA鎖からヌクレオチド対が脱落してしまったりする。DNA複製装置をその部分で止めてしまうものもある。複製装置が不適切なヌクレオチドを取り込み、校正でもそれが修正されないことがある。

 

修復機構はいろいろあり、そのほとんどは、DNAが二重らせん構造を持ち、遺伝情報が二本の鎖に一つずつ二重に存在するおかげで成り立っている。一方の鎖の配列が損傷を受けても、他方の鎖に相補的な塩基配列として予備があるので、情報が失われて回復不能にならない。

 

DNAの損傷を修復する方法の基本

  • ヌクレアーゼが共有結合を切断して損傷したヌクレオチドをDNA鎖から切り取る。すると、損傷部分の二重らせんの一方に小さいギャップが残る。
  • 切断されたDNA側の3‘-ヒドロキシル末端に修復DNAポリメラーゼ(5’→3‘方向、校正機能あり)(正常なDNA複製の際にプライマーRNAを除去した後のギャップを埋める酵素と同じ)が結合して、損傷を受けなかった鎖に相補的になるように、ギャップを埋めていく。
  • 修復DNAポリメラーゼがギャップを埋めた後、損傷鎖に残る糖―リン酸主鎖の切れ目は、DNAリガーゼ(DNA複製の際にラギング鎖の岡崎フラグメントをつなぐ酵素と同じ)が埋める。