医学生のeveryday

major in medicine

医学生の分子細胞生物学学習日記(37)

トランスポゾンとウイルス 生命のはずれで働く寄生遺伝因子…この因子はあらゆる生き物に入っているのと同じ核酸で構成され、増殖してあちこちに移動できるが、実際に生きている生物ではない。 動く遺伝因子(トランスポゾン、転移因子)…跳ぶ遺伝子として知…

医学生の分子細胞生物学学習日記(36)

ヒトゲノムの重要統計値 DNAの長さ 3.2×109塩基配列 タンパク情報を持つ遺伝子の数 約21000個 タンパク情報を持たない遺伝子の数 約9000個 最も大きい遺伝子の大きさ 2.4×106塩基対 遺伝子の大きさの平均 27000塩基対 1遺伝子当たりの最小エキソン数 1 1遺伝…

医学生の分子細胞生物学学習日記(35)

ヒトとマウスのゲノムはほぼ同じ大きさで、ほぼ同じ遺伝子が含まれ、両方とも動く遺伝因子だらけである。しかし、マウスとヒトのDNAに見いだされる動く遺伝因子は、塩基配列は似ているが、分布が異なる。2つの種が分岐して以来久しく、それぞれのゲノムでこ…

医学生の分子細胞生物学学習日記(34)

ゲノムの比較 祖先が共通なために塩基配列が類似している相同染色体が、進化的に非常に離れていても認められる。 進化は段階を踏んで進むものとされているが、この過程は分子レベルでは大部分方向性がない。 生殖系列細胞で起こる点変異の運命 まれに変異が…

医学生の分子細胞生物学学習日記(33)

水平伝播 遺伝子の水平伝播…真核生物ではめったに起こらないが、接合によってDNAを交換できる細菌にはよく見られる。抗生物質耐性を賦与する遺伝子は種から種へと簡単に伝達され、耐性遺伝子を受け取った細菌は、医療現場で細菌感染に対して使われる抗菌薬の…

医学生の分子細胞生物学学習日記(32)

動く遺伝因子 動く遺伝因子…染色体上のある場所から別の場所へと移動できるDNA配列 この過程で、既存の遺伝子の機能を壊したり調節を変えたりすることも多く、動く遺伝因子と既存遺伝子の断片が融合して新しい遺伝子ができることもある。動く遺伝因子が翻訳…

医学生の分子細胞生物学学習日記(31)

エキソンの混ぜ合わせ 多くのタンパク質は、機能を持った小さなドメイン群から構成されている。真核生物では、こうしたタンパクドメインは通常、別々のエキソンからでき、それぞれは長い翻訳されないイントロンに挟まれている。真核生物の遺伝子のこの編成は…

医学生の分子細胞生物学学習日記(30)

グロビン遺伝子ファミリーの進化の歴史 グロビン遺伝子はみな、1個の祖先遺伝子から生じたに違いない。もっとも単純なグロビンタンパクは約150個のアミノ酸からなるポリペプチド鎖で、海洋のいろいろな虫、昆虫、原始的な魚類にも見られる。このタンパク質も…

医学生の分子細胞生物学学習日記(29)

遺伝子の重複 遺伝子重複と分岐…遺伝子が重複すれば、その遺伝子の元の活性が失われない限り、重複した2つの遺伝子の各々が自在に変異を蓄積して少し異なる機能を遂行できるようになる可能性がある。この遺伝子重複と分岐が数百年を超える間に何回も繰り返さ…

医学生の分子細胞生物学学習日記(28)

有性生殖 有性生殖をする多細胞生物…特殊化した生殖細胞だけがゲノムの写しを生物の次の世代に受け渡す。生殖細胞は、体内にあるほかの細胞の半分の数だけ染色体をもつ。体細胞は、進化の過程で自分自身の子孫を残さずに死ぬ運命にある。変異を次の世代に伝…

医学生の分子細胞生物学学習日記(27)

遺伝子変動の生成 ・遺伝子内変異…単一ヌクレオチドの変化。あるいはヌクレオチドの欠失や重複によって変化することがある。遺伝子の転写産物のスプライシングを変えたり、作られるタンパク質や産物RNAの安定性、活性、局在部位、相互作用を変化させることが…

医学生の組織学学習日記(1)染色の基本

酸性色素と塩基性色素 酸性色素…色素の分子が遊離の基を持つ場合(OH,COOH,NO2,SO2OH)など水溶液中で負に帯電する 塩基性色素…NH2,NHCH3,NHなど正に帯電 染色とは タンパク質の遊離基に色素分子が結合することで起こる。(タンパク質は両性電解質、溶媒が酸…

医学生の分子細胞生物学学習日記(26)

【RNAiとは】 RNAi(RNA interference; RNA干渉)とは、二本鎖RNAと相補的な配列を持つmRNAが特異的に分解される現象です。元々、真核生物で広く保存されている遺伝子抑制機構の一つとして発見されましたが、近年では、人工的に二本鎖RNAを導入し、目的の遺…

医学生の分子細胞生物学学習日記(25)

タンパク質情報をコードしない「ノンコーディングRNA (ncRNA)」 piRNA(PIWI-interacting RNA)はわずか30塩基程度の小さなRNA(注1)です。しかしこの小さなRNAは、生殖細胞のゲノムを守るという大きな役割を果たしており、人間を含めた動物が存続するため…

医学生の分子細胞生物学学習日記(24)

ヒストンとは? ヒストンは、核に存在する塩基性のタンパク質です。正に荷電した塩基性アミノ酸を豊富に含み、DNAの負に荷電したリン酸基と相互作用していることが知られています。ヒストンは、一般的には、H1、H2A、H2B、H3、H4の5種類が存在します。真核生…

医学生の分子細胞生物学学習日記(23)

長鎖非翻訳RNA…長さ200塩基以上。 Xist…長さ約17000塩基の巨大なRNA分子は、X染色体不活性化に重要な役割を果たす。発生の初期には、雌の細胞の核ではそれぞれ、X染色体の一方だけから転写産物Xistがつくられる。これがその染色体にくっついて覆い、酵素やク…

医学生の分子細胞生物学学習日記(22)

細菌のmRNA…AUGコドンの数塩基上流に、短いリボソーム結合配列が存在する。 この配列はリボソームの小サブユニットのRNAと塩基対を形成し、AUGコドンをリボソーム内の正しい位置に配置する。リボソーム結合配列を隠せば、(露出させれば)、mRNAの翻訳は阻…

医学生の分子細胞生物学学習日記(21)

最終分化…いったん分化すると二度と分裂しなくなる 骨格筋細胞、ニューロン いったんある特定の型へと分化した細胞はそのあともその分化状態を維持するのが普通 分化後も、個体の一生を通じて何度も分裂を繰り返すものも多くある 細胞記憶…細胞が増殖しなが…

医学生の分子細胞生物学学習日記(20)

多くの転写抑制因子は、ヒストン尾部のアセチル基を取り除く酵素ヒストンデアセチラーゼをひきよせ、アセチル化による転写開始の促進効果を焼失させる。真核生物の転写抑制因子のなかには遺伝子それぞれに働くものもあるが、協調して、多くの遺伝子を含む広…

医学生の分子細胞生物学学習日記(19)

転写活性化因子(アクチベーター)…細菌の遺伝子を活性化する転写調節因子 その働きかけるプロモーターはそれ自体ではRNAポリメラーゼと結合して正しく配置する能力が非常に弱い。転写活性化因子が近くに結合し、RNAポリメラーゼに接触すると、転写の開始を…

医学生の分子細胞生物学学習日記(18)

転写 遺伝子のプロモーター領域がRNAポリメラーゼに結合して正しい方向を向かせると、転写が始まる プロモーターには、転写開始部位とその上流側に約50個の塩基配列がある ここにはRNAポリメラーゼによるプロモーターの識別に必要な部分があるが、そこがσ因…

医学生の分子細胞生物学学習日記(17)

その細胞で働くが他の細胞ではほとんど働かない遺伝子もある 細胞は発生の過程で高度に専門化していき、最後には筋肉や神経を始め、生体に見られる何千種類もの細胞ができる(分化) 遺伝子発現…細胞がゲノムに情報の書かれている何万ものタンパク質やRNAを…

医学生の分子細胞生物学学習日記(16)

真核生物のプロテアソームは、分解の目印としてユビキチンという小さいタンパク質が共有結合しているタンパク質に作用する。 特定の酵素がタンパク質を選び出してそれにユビキチン分子の短い鎖を連結すると、プロテアソームのふたに存在するタンパク質がこれ…

医学生の分子細胞生物学学習日記(15)

触媒活性を持つRNA分子…リボザイム 開始tRNA…AUGコドンのから始まる翻訳に必要な特定のtRNA 必ずメチオニン(最近の場合はメチオニンの誘導体であるホルミルメチオニン)を運ぶので、合成されるアミノ末端の1つ目のアミノ酸はメチオニンになるが、このメチ…

医学生の分子細胞生物学学習日記(14)

tRNAのアダプターの役割 正しいアミノ酸を識別して結合させるのはアミノアシルtRNA合成酵素で、アミノ酸を対応するtRNA群に共有結合させる。(充填する) アミノ酸ごとに合成酵素は異なり、全部で20種類の合成酵素がある。 mRNAのコドンに対する正しいア…

医学生の分子細胞生物学学習日記(13)

mRNA分子を外へ運ぶ最終決定をするのは結合しているタンパク質全体 (核に残った不要なDNAは分解され、ヌクレオチド成分は転写に再利用される) mRNA分子は最後には細胞質に存在するリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)によってヌクレオチドに分解される 寿命:…

医学生の分子細胞生物学学習日記(12)

RNAスプライシング…核内低分子RNA(snRNA)が主として行う。 このRNAはタンパク質と結合して核内低分子リボ核タンパク(複数形でsnRNPs)をつくる。 snRNPが自身の成分とmRNA前駆体との間での相補的な塩基対形成によってスプライス部位を識別し、イントロン…

医学生の分子細胞生物学学習日記(11)

細菌…DNAはリボソームと同じ細胞質にあり、mRNAの合成が始まると、リボソームがすぐに転写産物の遊離5‘末端に結合し、タンパク質への翻訳を始める・ 真核細胞…DNAは核に閉じ込められ、転写は核内で起こる。タンパク合成は細胞質のリボソームで起こる。 RNA…

医学生の分子細胞生物学学習日記(10)

細菌:RNAポリメラーゼのサブユニットであるσ因子が、DNA上のプロモーター領域を識別する。塩基対は二重らせんの内側にあるが、塩基対ごとの独特な特徴が二重らせんの外側にも表れているため、σ因子は二本鎖を分解しないでもプロモーター配列を見つけられる…

医学生の分子細胞生物学学習日記(9)

mRNA…遺伝子をコピーしたRNA分子(メッセンジャーRNA) 真核生物:1個の遺伝子だけを転写した情報を持ち、1個のタンパク質を指定する 細菌:隣り合った複数個の遺伝子が1個のmRNAにまとめて転写され、数種のタンパク質の情報のタンパク質の情報を持つ。 mRNA以…