医学生の分子細胞生物学学習日記(34)
ゲノムの比較
祖先が共通なために塩基配列が類似している相同染色体が、進化的に非常に離れていても認められる。
進化は段階を踏んで進むものとされているが、この過程は分子レベルでは大部分方向性がない。
生殖系列細胞で起こる点変異の運命
- まれに変異が有利な変化を生み場合。ほとんどの場合は、少しも影響しないか、深刻な被害をもたらすかである
この変異を受け継いだ生物は繁殖する可能性が高いので、この変異は永続する傾向がある。
- 選択的に中立の変異は、受け継がれる場合とそうでない場合がある。
- 有害な変異は残らない。
タンパク質やRNAの情報を持たず、調節の役割もないDNAの領域は、ランダムな変異の起こる速度に従って自在に変化する。一方、必須タンパクやRNA分子の情報を持つ遺伝子の有害な変化は簡単には受け入れられず、変異によって欠陥を生じた個体はほとんどが排除されるか繁殖不能かである。
最も保存度が高い遺伝子群はDNAポリメラーゼやRNAポリメラーゼなど重要なタンパク質の遺伝子である。
系統樹…選択的に中立な変異などに着目し、塩基の変化を比較して、生物群間の進化関係を描く
(選択圧に制約されない速度で着実に蓄積し、時間の概算に使える)
組み換えによるゲノムの再編成でさえ、ヒトとチンパンジーのゲノムにごくわずかな違いを生じたに過ぎない。たとえば、チンパンジーのゲノムにもヒトのゲノムにもAlu配列と呼ばれる動く遺伝因子が100万個含まれている。これらの因子の99%以上が両ゲノムで同じ位置にあることから、ヒトのゲノムにあるAlu配列の大部分は、ヒトとチンパンジーが分かれる前からそこに存在していたとわかる。