医学生のeveryday

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医学生の分子細胞生物学学習日記(22)

細菌のmRNA…AUGコドンの数塩基上流に、短いリボソーム結合配列が存在する。

       この配列はリボソームの小サブユニットのRNAと塩基対を形成し、AUGコドンをリボソーム内の正しい位置に配置する。リボソーム結合配列を隠せば、(露出させれば)、mRNAの翻訳は阻害(促進)される。

 

真核生物のmRNA…5‘キャップ構造があって、AUGコドンへとリボソームを誘導する。真核細胞の翻訳抑制因子には、mRNAの5’非翻訳領域にある特異的配列に結合してAUGをリボソームから隠すものがある。

 

調節RNA(マイクロRNA、低分子干渉RNA、長鎖非翻訳RNA)…遺伝子発現の調節に重要な役割を担っている非翻訳RNA

 

マイクロRNA(miRNA)…特異的mRNAと塩基対を形成してその安定性と翻訳を抑制することにより、遺伝子発現を制御する。

             ヒトでは、タンパク質を指令する全遺伝子の少なくとも3分の1以上を調節

             RNAプロセシング長さ約22塩基の成熟miRNAは特殊なタンパク質と結合してRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)を形成。RISCは細胞質内を巡回して、自身と結合しているmiRNAと相補的なmRNAをさがす。

標的mRNAがmiRNAと塩基対を形成すると、mRNARISC自身の持つヌクレアーゼによってすぐに破壊されるか、翻訳が阻害されて細胞質の他の部分に送られ、そこで結局ヌクレアーゼに破壊される。RISCは、このmRNA分子を処理すると解離し、また別の標的mRNAをさがす。

1個のmiRNA分子によりmRNAが1分子ずつ次々に取り除かれるので、そのmRNAが指令するタンパク質の生産が、効率よく阻害される。

  ・さまざまなmRNAぶんしでも、ある共通の配列を持ちさえすれば、1個のmiRNAでまとめて一挙に翻訳を調節できる

  ・転写調節因子に比べると、miRNAの遺伝子はゲノム中でそれほど場所をとらない。

 

低分子干渉RNA(siRNA)…miRNAの加工にかかわる一部の因子は、細胞の強力な防御機構としても働く。

             この機構は外来のRNA分子、特に多くのウイルスや転移因子が作る二本鎖RNA分子を破壊するので、この分解機構はRNA干渉(RNAi)と呼ばれる。第1段階では、miRNA生産の過程で二本鎖RNA中間体をつくるために使われるのと同じダイサーというタンパク質によって、外来の二本鎖RNAが短い二本鎖断片(約22塩基対)に切断される。この二本鎖RNA断片は低分子干渉RNA(siRNA)と呼ばれ、miRNAと同じようにRISCに組み込まれる。RISCはsiRNAの一方の鎖を分解し、残った一方の鎖を利用して相補的な外来RNAを探し、破壊する。このようにして、感染細胞は外来RNAを排除する。