医学生の分子細胞生物学学習日記(14)
tRNAのアダプターの役割
正しいアミノ酸を識別して結合させるのはアミノアシルtRNA合成酵素で、アミノ酸を対応するtRNA群に共有結合させる。(充填する)
アミノ酸ごとに合成酵素は異なり、全部で20種類の合成酵素がある。
mRNAのコドンに対する正しいアミノ酸が結合できるのは、合成酵素とtRNAの共同作業のおかげである。
アミノアシルtRNA合成酵素の3‘末端にアミノ酸を連結する反応もATP加水分解と共役した反応で、tRNAとアミノ酸との間には高エネルギー結合ができる。このエネルギーはポリペプチド鎖にアミノ酸を共有結合でつないで伸長させるのにつかわれる
tRNAのアンチコドンによるコドンの識別は相補的塩基対形成である。
リボソーム…mRNA上を移動し那賀r相補的なアミノアシルtRNA分子をとらえて適切な位置に保ち、tRNAのに結合したアミノ酸を共有結合でつないでタンパク質を合成する分子装置。
数十種類の小型タンパク質(リボソームタンパク)と数種類のリボソームRNA(rRNA)とからなる大型の複合体。
リボソームを構成するタンパク質は数ではrRNAを圧倒的に上回る。
質量ではRNAがリボソームの大半を占め、リボソーム全体の形や構造を決める。
真核細胞の細胞質にはふつう、数百万個のリボソームがある。
rRNAは密に折りたたまれて厳密な三次元構造をとり、リボソームのコアをなす。
リボソームタンパクは通常リボソーム表面にあって、折りたたまれたRNAの隙間や溝を埋める
(効率よいタンパク合成の触媒作用に必要なrRNAの立体構造変化は許容)
大サブユニットと小サブユニット1つずつからなる。
大サブユニット…ペプチド結合を形成してポリペプチド鎖をつくる
この2サブユニットがmRNA分子の5‘末端付近でmRNAをはさんで会合し、タンパク合成を始める。
(先に小サブユニットがmRNAに結合する)
mRNAはリボソームの中をテープが引っ張られるように(5‘→3’)に少しずつ通過し、それにつれてリボソームが、tRNA分子をアダプターに使ってコドン1個分ずつをアミノ酸に翻訳していく。タンパク合成が終わるとリボソームの2つのサブユニットは解離する
(リボソームの作業効率は驚くほど良い)
リボソームにはmRNA結合部位が1か所、A(アミノアシル)部位、P(ペプチド)部位、E(Exit)部位とよばれるtRNA結合部位が3か所ある。
(大サブユニットにある酵素部位が触媒する)
これが1巡するたびにポリペプチド鎖にアミノ酸がC末端に1個ずつ付加される。
新しいタンパク質はアミノ末端からカルボキシ末端へと伸び続ける。
tRNA結合部位(A部位、P部位、E部位)はおもにrRNAでできている。
ペプチド結合形成の触媒部位も大サブユニットの23S rRNAでできている。
リボソームタンパクは取り込まれるtRNAや伸長中のポリペプチド鎖には届かないほど離れている。
23S rRNAは高次構造がしっかり決まったポケット状の構造で、ポリペプチド鎖とRNAを正しく並ばせて、有効な反応が起こる確率を大いに高めている。